加工部品の製作・調達はお任せください。

加工の相談窓口

電話応対時間 AM9:00~PM5:00

0294-39-1161

アーク溶接とは?その種類と特徴を解説します!

アーク溶接とは?その種類と特徴を解説します!

技術情報

アーク溶接とは

溶接の種類の1つで「アーク放電」という現象を利用した溶接方法です。アーク放電は気体の放電現象です。離れた電極間に電圧をかけると空気の絶縁が破壊され、電極間に電流が発生します。その際に、高温の強い光が生じます。その光が弧(Arc)状で「アーク」と呼ばれます。このアークの熱を熱源とした溶接をアーク溶接といいます。アークの温度は5000~20000℃になり、金属の融解温度より高くなるため、様々な金属の溶接をすることができます。そのため、アーク溶接は自動車や建築物など金属を使用する様々な物の製作に用いられます。

アーク溶接の手順

溶接棒やワイヤなどの電流を流した状態で電極の先端を何度か母材に当てることでアークが発生します。アークの熱により溶かした金属を母材につけることで溶接することができます。電流と電極と母材の距離を調整することで金属がちょうどよく溶けるようにします。この際に溶かす金属が電極か電極以外かでアーク溶接の種類が分かれています。

アーク溶接の種類・特徴

アーク溶接の分類はまず、電極が溶けるかどうかで2種類に大別されます。電極が溶ける方法の溶極式(消耗電極式)溶接と電極の代わりに溶加材(溶加棒)を溶かす方法の非溶極式(非消耗電極式)溶接があります。溶極式溶接と非溶極式溶接はそれぞれいくつかの溶接法があります。その中で、溶融した金属が大気に触れることで凝固した際の強度が落ちるのを防ぐシールドガスを用いる溶接法をガスシールドアーク溶接といい、使用するガスの種類ごとに特徴があります。ガスシールドアーク溶接は、ガスを使用するため、風の影響を受けやすいです。

溶極式溶接

・ティグ(TIG)溶接

TIG溶接は、熱に強いタングステンを電極として利用します。タングステンは融点が高いため電極として利用してもほぼ消耗せずに溶接をすることができます。TIG溶接では溶接部をアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスをシールドガスとして利用します。電極が溶けないため、非消耗電極式溶接では、電極とは別に溶加材を使用します。

薄板の溶接などに向いていて、スパッタと呼ばれる溶接時に発生する金属の微粒子がほとんど発生しないため仕上がりがきれいであることが特徴です。また、電極が消耗しないことから長時間の溶接が可能です。しかし、溶接速度は遅く、そのため不活性ガスを大量に使う必要があります。

・プラズマ溶接

TIG溶接同様に電極にタングステンを使います。電極を包むノズルにパイロットガスとして不活性ガスを流し、それをイオン化させたものをプラズマジェットと呼びます。これをノズルから噴出することでアーク電流の導電体とし、アークを絞ることができます。絞られたアークはエネルギー密度が高くなるため、母材を貫通させることができます。これをキーホール溶接といい、溶接速度が速く、溶け込みが深く、歪みが少ない溶接が可能です。また、スパッタが発生せず、アーク指向性が良いためアークが蛇行せずきれいな仕上がりになります。プラズマアーク溶接は溶接装置が高価でガスの使用量も多いことがデメリットです。

溶極式溶接

・被覆アーク溶接

被覆アーク溶接は溶接棒に被覆剤(フラックス)を塗布したものを電極として、母材との間に発生させたアークにより溶接するものです。被覆剤が溶融する際に発生するガスやスラグと呼ばれる金属に含まれる不純物が母材の溶接箇所を覆うことで風の影響を受けにくい利点があります。また、被覆アーク溶接は設備が比較的安価で小型である点や溶接棒の材質を変えることで様々な母材に対応できることから現場溶接で多く利用されています。

・炭酸ガス(CO₂)アーク溶接

シールドガスに二酸化炭素を用いるガスシールドアーク溶接です。炭酸ガスはアークと化学反応を起こしアークを細くすることで熱が溶接箇所に集中し、作業効率を上げます。また、炭酸ガスは安価で入手しやすく、薄板の溶接に適しています。しかし、炭酸ガスアーク溶接は溶接時にスパッタの発生量が多いことから仕上がりが悪くなってしまいます。

炭酸ガスアーク溶接は主に半自動溶接として使用されています。半自動溶接は消耗する電極に用いるワイヤをローラで自動供給するものです。しかし、溶接自体は手作業で行うため半自動溶接と呼ばれます。

・マグ(MAG)溶接

シールドガスに不活性ガスと活性ガスである炭酸ガスを混合して用いるガスシールドアーク溶接です。マグ溶接も半自動溶接として使われます。

後述するミグ溶接は不活性ガスのみを用いていることからアークが広がり溶け込みが浅くなってしまいますが、マグ溶接では、不活性ガスだけでなく炭酸ガスも使用することから、アークを細くし、溶け込みを深くすることで強度が上がります。また、ミグ溶接ほどではないですが、スパッタの発生が少ないため仕上がりがきれいなことも特徴です。しかし、炭酸ガスを用いているのでミグ溶接とは違い非鉄金属に使用することはできません。

・ミグ(MIG)溶接

シールドガスにアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを用いるガスシールドアーク溶接です。ミグ溶接も半自動溶接として使われます。

ミグ溶接では、不活性ガスを用いていることから、アルミやステンレスなどの非鉄金属に使用することができる点がメリットとして挙げられます。他にも、溶接の速度が速く、仕上がりがきれいなどの点が優れています。しかし、不活性ガスは炭酸ガスよりも高価で、アークが広がりやすいことから溶け込みが浅く、溶接の強度が低くなることがあります。また、非鉄金属に使用できる代わりに鉄の溶接には不向きです。

・セルシールドアーク溶接

被覆アーク溶接と同様に被覆剤から発生するガスをシールドガスの代わりに用いる溶接法です。

セルフシールドアーク溶接では、被覆アーク溶接ではワイヤの外側に被覆剤を塗布しますが、ワイヤの中に被覆剤を内包した構造のものを使用します。これにより半自動溶接として使うことが可能となります。

・サブマージアーク溶接

母材上に散布した粒状の被覆剤の中に電極ワイヤを送り込み、そのワイヤと母材の間にアークを発生させることで溶接する溶接法です。サブマージアーク溶接も半自動溶接として使われます。

溶接部が被覆剤により覆われているため風の影響を受けにくく、アークの光が見えないことから遮光の必要がないことが特徴です。

まとめ

アーク溶接の中にも様々な手法があり、それぞれにメリット・デメリットがあるため、それらを十分に理解する必要があります。溶接したい金属の種類、作業環境、溶接の仕上がり、費用などを鑑みて適切な溶接法を選択することで目的にあった製品を製作できます。

以上、アーク溶接とは、その手順、種類と特徴について解説いたしました。

加工の相談窓口を運営している株式会社今橋製作所では、本記事で解説しましたアーク溶接をはじめとする溶接加工から切削加工まで一貫して対応可能となっております。簡単な加工から複雑な形状の加工まで幅広く対応しており、最適な材質選定、加工方法等をご提案させていただきます。技術相談も承りますので、ぜひ一度ご相談下さい。

お問合せ・お見積り依頼

電話応対時間 AM9:00~PM5:00
0294-39-1161

お問合せ・お見積り依頼はこちら