フランジの種類と特徴を紹介!
フランジとは、一般的に円筒形や部材からはみ出すように出っ張った部分で工業用語では2つの配管を接続する継ぎ手部分などを指す言葉として使われています。
今回はそんなフランジの種類と特徴を詳しく紹介していきたいと思います。
◆目次
・接続方法によるフランジの種類と特徴
- 差込み溶接式フランジ
- ソケット溶接式フランジ
- 突合せ溶接式フランジ
- 遊合型フランジ
- ねじ込み式フランジ
・フランジシール面(フランジフェイス面)形状によるフランジの種類
- 平面座(レイズドフェイス Raised Face:RF)
- 全面座(フラットフェイス Flat Face:FF)
- はめ込み型(メールアンドフィメール Male and Female:MF/MF-M、MF-F)
- 溝形(タングアンドグルーブ Tongue and Groove:TG/ TG-G、TG-T)
- リングジョイント座(リングジョイント Ring Joint Face:RJ)
・弊社での製品事例
接続方法によるフランジの種類と特徴
先の記事で説明しました通り、広義の意味でのフランジとは円筒形あるいは部材からはみ出すように出っ張った部分のことの総称ですが、工業的にはつば状の配管継手を指すことが多いです。
ここでは配管継手としてのフランジを接続方法の違いから、分類して説明していきたいと思います。
差込み溶接式フランジ(スリップオンフランジ Slip On Flange:SO)
差込み溶接式フランジは、溶接式フランジの一種で一般的に広く使われている接続方式のフランジです。中央にパイプを通す穴が開いており、その穴にパイプ・配管を差し込んで、フランジの上面とフランジ内径の内側の2箇所を隅肉溶接して接続します。外側と内側の両側から溶接することで、流体の流れを妨げたり隙間部分が腐食したりするのを防ぐことができます。
開先加工する必要がなく、施工が容易ですが、強度面では突合せ溶接式よりも劣るため高温配管には不向きです。
差込み溶接式フランジには、中央の穴の周りに縁がある「ハブフランジ(Slip on Hub:SOH)」と平坦で板状の「板フランジ(Slip on Plate:SOP)」があります。
ソケット溶接式フランジ(ソケットウェルドフランジ Socket Weld Flange:SW)
ソケット溶接式フランジは、差込み溶接式フランジと同様、中央の穴にパイプ・配管を差し込んで接続します。フランジ中央の穴に胴付部(段差)があり、その胴付部に管を突き当てるように差込み、フランジ上面の管外側1箇所を隅肉溶接して接続します。溶接箇所がフランジ上面の1箇所のため、フランジのシール面に影響がないため小口径配管・フランジの接続の際に多く使用されています。
一方で溶接箇所が少ない分、差込み溶接式フランジよりも溶接強度が劣り、高温高圧配管には不適です。
突合せ溶接式フランジ(ウェルドネックフランジ Weld Neck Flange:WN)
突合せ溶接式フランジは、フランジに開先加工が施してあり、パイプ・配管と突合せ溶接し接続します。パイプや配管類と直接溶接接続するため、熱応力や振動に対する強度に優れており、高温・高圧環境下での使用に適しています。そのため、石油・化学装置関連などには非常に多く使用されています。また、突合せ溶接であるため、内面が平滑に仕上がることもメリットです。
一方で他のフランジと比べて開先加工の部材を使用すること、溶接工数がかかることからコストがかかるという欠点もあります。
遊合型フランジ(ルーズフランジ Loose Flange/ラップジョイント Lapped Joint Flange:LJ)
遊合形フランジは、一般にスタブエンド(ラップジョイント)と呼ばれるつば状の配管継手と組み合わせて使用されます。スタブエンドのつばの無い側にパイプ・配管を突合せ溶接し接続し、つば部分はルーズフランジに引っかけて使用します。ルーズフランジは拘束されていないため、自由に回転することが出来ます。そのため、ボルト穴の位置を自由に調整することができます。
一般に溶接が不可能な管との接合や、低温低圧かつ危険のない環境下での配管の接続に多く使用されています。流体と接触するのがスタブエンドのみで、フランジは流体と接触しないため安価な材料にすることが可能です。
ねじ込み式フランジ(スレーデッドフランジ Threaded Flange:TR)
ねじ込み式フランジは、フランジ内径にテーパーめねじが施されており、テーパーおねじを施したパイプ・配管をねじ込んで接続します。溶接が不要なので火気を利用できない場合に適しています。溶接を行わないため、作業工数を少なくしコストを抑えることが出来ます。
一方でねじによる接続のため、シール性は溶接より劣ります。主に小口径、常温かつ定圧で危険性のない流体の配管に使用されます。
その他にも、パイプとフランジが一体構造となった一体フランジや配管の末端開口部を塞ぐブラインドフランジなどがあります。
フランジシール面(フランジフェイス面)の形状によるフランジの種類
配管やノズルに取り付けたフランジ同士を接続する場合、流体の漏れ防止のため一般的にはフランジとフランジの間にガスケットを挟み込んだり、フランジに溝を切ってOリングをはめたりしてシールを行います。
フランジシール面(ガスケット座)は、使用するガスケットの種類によって大きく左右されるので、フランジシール面の決定は、ガスケットの選定との関連で決める必要があります。
ガスケット座の種類としては、主に以下のようなものがあります。
平面座(レイズドフェイス Raised Face:RF)
ボルト穴の内側に平らな座面を設けたもので、最も広く利用されているフェイス面のフランジです。ボルト穴の内側にほぼ接する座面を設けている「大平面座」と、座面の面積が大平面座よりも小さい「小平面座」に分類されます。
全面座(フラットフェイス Flat Face:FF)
フランジの接合面全面を平面に仕上げたフランジです。一般には流体の漏れがないように、パッキンと一緒に接合します。JISフランジでは呼び圧力が10K以下、JPIフランジではクラス150以下などに利用されます。接続する相手側の相フランジが鋳鉄製の場合は、ボルト・ナットの締め過ぎに起因する強度上の理由などから全面座を使用する必要があります。
はめ込み型(メールアンドフィメール Male and Female:MF/MF-M、MF-F)
フランジの接合面を凸のあるオス「メール座(MF-M)」と、凹みのあるメス「フィメール座(MF-F)」により、互いをはめ込んで接合するものです。バルブのボンネットフランジやコンプレッサーの接続フランジなどのように、フランジ同士の接合を正確に芯出ししたい際に利用されています。
溝形(タングアンドグルーブ Tongue and Groove:TG/ TG-G、TG-T)
平面座に溝を設けたもの「グルーブ座(TG-G)」と、平面座に溝形の凸を設けたもの「タング座(TG-T)」ではめ込んで接合するものです。溝形(TG)は、はめ込み形とは異なり、座面は凹面と凸面からなっているため、ガスケットの当たり面が小さく、面圧を大きく取ることができます。そのため、気密性が重視となる危険性流体や真空配管などに使用されています。
リングジョイント座(リングジョイント Ring Joint Face:RJ)
フランジの接合面にリングジョイントガスケットが入れられる溝を設けているものです。リングジョイントガスケットは金属製で、そのシール面は金属の線接触となるため、シール性に優れ、高温高圧に耐えることができます。また、シール面が溝の中にあり露出していないので、シール面の損傷が少ないというメリットがあります。他の座面のフランジよりも接続する配管の曲げ方向の外力に対しての強さも持っています。しかし、メンテナンス時には、フランジの脱着に多少の困難さを伴うといった欠点もあります。
弊社での製品事例
フランジ
スペック・仕様
材質 | SUS304 |
ロット | 50~100ヶ |
大きさ | φ30×15T |
公差レベル | ±0.05 |
納期目安 | 4週間 |
SUS304のフランジです。定期的な中ロット(10~数百/ロット)対応も可能です。
フランジ アルミ 中ロット 価格重視
スペック・仕様
材質 | A5056 |
ロット | 10~20ヶ/ロット |
大きさ | φ50×15L |
公差レベル | 一般公差 |
納期目安 | 約3週間 |
金額 | 1万円未満 |
製品用途・業界 | 産業機器 |
一般産業機器に(ポンプ類)で使用されるフランジです。今回の製品の加工はそれほど難しくはありませんが、10~20ヶの中ロット品で価格を抑えてほしいとの要求がありました。弊社はアルミ加工品も数多く取り扱っており、お客様の要求に対応することができました。弊社では、既存サプライヤーの廃業などの影響による「難易度は高くないけど価格重視」の案件につきましても対応しております。
その他にも製品事例を掲載しておりますので以下のサイトもぜひご覧ください。>>>フランジの製品事例についてはこちら
以上、フランジの種類と特徴、弊社での事例についてもご紹介いたしました。
加工の相談窓口を運営している 株式会社 今橋製作所 では、本記事で解説しましたフランジの加工を多数取り扱っております。簡単な形状の切削部品から複雑形状まで幅広く請け負っております。技術相談も承りますので、ぜひ一度お問合せください。
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