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〈チタンの切削加工〉加工が難しい理由・加工のポイントを解説します!

〈チタンの切削加工〉加工が難しい理由・加工のポイントを解説します!

技術情報

チタンは金属素材の中でも、軽量、高強度、耐食性・耐熱性が高いなど数多くの優れた特性を持っています。非常にメリットが多く、日用品から産業用機械、医療機器までさまざまな業界の製品で使用されています。近年では製造コストの低減化により、その需要は年々高まってきています。

しかし、それらの優れた特徴により、切削加工が難しいというデメリットもあります。

今回の記事では、チタンの特徴、チタン切削加工が難しい理由、加工のポイントについて解説いきたいと思います。

チタンとは(特徴)

チタンとは、元素記号「Ti」で表される原子番号22の銀灰色の金属です。チタンは、1791年にイギリスの川の砂の中で発見され、ギリシャ神話に登場するギリシャ神話に登場する巨人の名前「Titans」から命名されました。その後工業/産業で実用化されたのは1940年代後半から、1950年代後半にかけてと金属材料としての歴史は比較的新しい金属です。

チタンは軽量で強度が高く、耐食性・耐熱性に優れるといった特徴があります。このような特徴から、航空・宇宙分野や原子力発電関連製品をはじめ、建築材料、アクセサリー、スポーツ用品や料理器具などの生活用品まで幅広い分野の製品で使用されています。また、人体への親和性が高くアレルギー反応を引き起こしにくいことから、義手や義足、人工関節などの医療分野でも使われています。

チタンには純度の高い純チタンと、アルミニウムやニッケルなどの元素を添加したチタン合金の2種類があります。純チタンの方が安価で加工が容易です。一方で、チタン合金は加工は難しいですが含有する金属特性によって強度や耐食性などを向上させています。

チタン切削加工が難しい理由

先述のようにチタンは、高強度、耐食性、耐熱性などの優れた特性を持っています。しかし、その特性ゆえに切削加工が難しいといわれています。ここでは、チタンの切削加工が難しい理由を詳しく解説します。

①強度が高い

チタンは強度が高いため、切削抵抗が高くなり、切削の際に工具に大きな負担がかかります。また、加工の際に熱が発生しやすく、切削温度が工具に伝わる割合が高いことも、加工が難しい原因となります。

②熱伝導率が低い

チタンは熱伝導率が低いため、切削時に発生した熱が逃げず、工具と材料に蓄積されます。そのため、摩擦が大きくなり切削工具の摩耗が進み、劣化の原因となります。

③化学的に活性である

チタンは化学的活性が高く、他の金属との親和性も高いため加工の際に発生する熱で工具と化学反応を起こします。化学反応により合金が生成されたり、癒着を起こしたりすると、加工精度の低下や工具の摩耗が大きくなる原因となります。

④ヤング率が小さい

チタンはヤング率が鉄の約半分と小さい金属です。ヤング率が小さいと、切削加工の際に大きく変形しやすくなります。特に薄物の加工では加工精度の低下やビビりの発生が起きやすいです。

チタン切削加工のポイント

ここまで、チタンの加工の難しさを解説しましたが、その対策として切削加工のポイントを以下にまとめました。

切削速度を遅く設定する

切削速度が速いと高熱になり工具の摩耗が大きくなるため、切削温度を低く保つ必要があります。そのため、切削速度を出来るだけ落とし、熱の発生を抑制します。

切削油を使用する

切削温度と切削抵抗を低く抑えるため、切削油を使用します。切削速度によって、適切な切削油の種類が変わってきます。高速度で切削加工する際は冷却効果を高める水溶性切削油剤を使用し、低速度で切削加工する際は工具先端の磨耗低減や焼きつき防止のため不水溶性切削油剤を使用します。

工作機械のベースフレームはたわみに耐えるものを選ぶ

工作機械を設置するベースフレームは、チタンのたわみに耐えることが出来るしっかりとしたものを選びましょう。また、工作機械を設置する場所も道路付近などの振動が伝わりやすい所を避け、振動が起きにくい場所を選ぶことが大切です。

チタン加工に適した工具を使用する

チタンの切削加工には超硬合金工具を使用しますが、摩耗を抑えるためチタンカーバイトを含まない種類が望ましいです。通常の切削加工の場合は耐摩耗性に優れた超硬合金K10、機器系での断続加工では耐欠損性に優れた超硬合金K20などが適しています。

切り屑による発火対策をしておく

チタンは燃えやすい特性を持っています。そのため、切粉や切り屑の排出方法に工夫したり、ゴミなどの発火しやすいものを近くに置かないなどの対策が必要です。万が一発火した場合に備えて、粉末消火剤を常備しておくことも大切です。

このように、チタンの切削加工行う際には様々な注意点があります。

チタンは高強度、軽量、耐熱・耐食性、人体に無害など、多くの優れた特徴を持った材料です。高品質なチタン製品を製造するには、チタンの持つ特性を理解し適切な機械や加工方法を選択することが重要になります。

弊社での製品事例

本記事で解説したチタン切削加工について、弊社で加工した製品を紹介します。

チタン ピン 医療機器 試作加工

スペック・仕様

材質純チタン(Ⅱ種)
ロット2ヶ/ロット
大きさφ30×60L
公差レベル一般公差
納期目安約2週間
金額1万円未満
製品用途・業界医療機器

医療機器のインプラント・外科手術・整形外科手術に使用される製品の試作品です。

このピンは形状的に難易度は高くありませんが、先端部がテーパーから球面になっているなど、座標計算によるミスが起こりやすい箇所があります。弊社では3Dモデルを作成し、座標を割り出し確認を行うなど正確に製品が加工できるよう徹底したチェック体制を構築しております。

その他にも製品事例を掲載しておりますので以下のサイトもぜひご覧ください。>>>チタンの製品事例についてはこちら

以上、チタンとは、その特徴、チタン切削加工が難しい理由、チタン切削加工のポイント、弊社での事例についてもご紹介いたしました。

加工の相談窓口を運営している株式会社今橋製作所では、本記事で解説しましたチタン切削加工の加工実績が多数ございます。長年培ってきたノウハウを生かし、薄肉加工や3D難形状品の対応も可能となっております。また、技術相談も承りますので、ぜひ一度お気軽にお問合せ下さい。

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