ヒンジ(蝶番)とは?その種類と特徴を解説します!
ヒンジとは(Hinge)
ヒンジとは扉や蓋などを支え、開閉できるようにするための部品です。その形状が蝶々の形に似ていることから、日本語では「蝶番(ちょうつがい)」と呼ばれます。蝶番(ちょうつがい)が本来の呼び方ですが「ちょうばん」と読まれることもあり、そこから「丁番(ちょうばん)」という当て字が使われるようになりました。建築業界などでは丁番という呼び方の方が多く用いられています。
最も一般的な平蝶番は、2枚の金属板(プレート)を1本の回転軸で繋ぎ、その軸を中心に金属板が左右に開くという仕組みになっています。
ヒンジは扉だけでなく、ピアノの鍵盤の蓋、トイレの便座の蓋、冷蔵庫に電子レンジ、ノートパソコンや仏壇など様々なところで使用されています。また、用途に合わせ大きさ・形状のものがあるため、非常に種類が多いです。
ヒンジの種類と特徴
非常に種類が多いヒンジ(蝶番)ですが、代表的な種類を紹介します。
平蝶番(flat hinge)
最も一般的な左右対称の番です。羽根部分が重なってしまうので、普通に取り付けただけでは隙間が空いてしまいます。隙間を無くすためには取り付け部分を削るなどの加工が必要となります。
長蝶番(piano hinge)
平蝶番と同じく左右対称で、平蝶番と比べて軸方向に長い蝶番です。縦に長い扉など長いものを設置する際に使用され、たわみや反り返りを防ぐことができます。扉やピアノの鍵盤の蓋、ライティングデスクなどに使用されています。ピアノ丁番とも呼ばれています。
旗蝶番(flag hinge)
扉側と取り付け側で上下に分かれており、羽根の高さが全体の半分ほどになっている蝶番です。羽根部分が旗のように見える事から旗蝶番と呼ばれています。軸を中心に360度回転するのが特徴です。重量のある扉や門戸など大きく回転する必要のある場所に使用されています。また、扉を閉めた際に羽根が上下で重なり扉と枠の隙間を小さく出来るため、室内ドアにも多く使用されています。
抜き差し蝶番(removal hinge)
軸と羽根部分が分割されており、抜き差しが出来る蝶番です。取り付け後も簡単に抜きとれるため、扉を取り取り替えることができます。扉側と枠側を簡単に分離できるので、建築現場等の吊り込み作業がしやすいというメリットがあります。また、メンテナンスや掃除がしやすいため、OA機器や計測機器などに使用されています。右用・左用があるため注意が必要です。前述した旗蝶番は、抜き差し蝶番の一種です。
スプリング蝶番/バネ蝶番(spring hinge)
軸部分にバネが内蔵された蝶番です。バネにより元に戻る力が働くため、開けた後に手を離すと自動的に閉まります。常に閉じておきたい扉やカウンターなどに多く使用されています。片開きタイプと両開きタイプがあります。
自由蝶番(double acting spring hinge)
ナックルの内側にバネが内蔵された蝶番です。スプリング蝶番と同様にバネにより、常に閉じる力が働きます。スプリング蝶番とは違い、取り付け後バネの強弱の微調整が可能です。内側、外側の両方向に開けることが可能で、バーカウンターや厨房に続く軸扉(くぐり戸)などに使用されています。
アングル蝶番(angle hinge)
扉内側(止め穴加工をする)と取付枠の側板にネジ止め固定して使用する蝶番です。扉を閉じた際に側板部分を扉でかぶせる様な作りに使用され、外側から蝶番の取りつけ部分が見えないのが特徴です。キャビネットやキッチン扉などに使用されています。片開き用と両開き用があり扉を大きく開けることが可能です。隙間を無くすために堀込んで使用されているので、取替の際は同じ丁番が無ければ穴埋めを行うか扉を新しく作り直さなければいけません。
スライド蝶番(concealed hinges)
扉に取り付けるスライド蝶番本体と側板に取り付ける取り付け座金の2つの部品で構成されており、4軸以上の多軸で特殊な軌跡を描きながら開閉する蝶番です。開けた時に軸が移動するため扉の着脱が可能で、扉の内側に取り付けることができるので扉を閉めた状態では蝶番が見えません。開閉時に扉が棚などの枠より外側に出ないので、連続扉でも隣の扉に干渉することなく開閉可能です。家具やキッチン扉、食器棚などに多く使用されています。
近年では3次元調整・ワンタッチ着脱・ダンパー付など様々な機構が付与しているものもあり、産業機械などでも幅広く使われております。
隠し蝶番(concealed hinges)
扉を閉じた状態で蝶番が外から見えないようになっている蝶番です。裏蝶番とも呼びます。隠し蝶番には、広げた時に四角い形になる角型、取り付け穴を回転する刃物で加工した際にできた丸い形に合うように作られたルーター型など様々な種類があり、前述したアングル蝶番・スライド蝶番も隠し蝶番の一種です。スッキリと見せることができるため、デザイン性を重視する扉などに使用されています。
扉が閉まっている状態では扉がある事が判らない様な作りにする事も可能で、高級な扉や防犯性を高めるために使用されることもおります。
トルクヒンジ(torque hinge)
開閉時の軸部の摩擦により一定のトルク(抵抗)が発生し、自由な角度に保持することのできるフリーストップ仕様の蝶番です。監視カメラやモニターなど角度を調整し固定しておきたいものに使用されています。また、扉などが不用意に閉まるのを防ぐことも可能です。
オートヒンジ(auto hinge)
扉の開閉スピードを制御する機能を兼ね備えた蝶番です。プレートが上下に分かれており、ダンパーヒンジとスプリングヒンジという強弱の異なる2種類の蝶番で開閉スピードをコントロールします。旗蝶番型のものと、扉の内部に収まる中心吊り型のものがあり、防火戸などに使用されています。
キャビネット蝶番(cabinet hinge)
キャビネットやサイドボード、吊戸棚などに使用される蝶番です。扉部分と取り付け方法によって、外板の中に扉が入って蝶番が完全に内側にくる「インセットタイプ」と、外板と扉がかぶさるように設置する「かぶせタイプ」の2種類があります。
ガラス蝶番(glass door hinge)
ガラスやアクリル素材専用の蝶番です。ガラスやアクリル板を挟み込むように設置するタイプと、穴をあけて設置するタイプの2種類があります。
グラビティーヒンジ(gravity hinge)
扉を開くと螺旋状にせり上がり、自重で自閉及び自開する蝶番です。シャワーブースやトイレブース等で使用されています。
ドロップ蝶番(drop hinge)
下開きの扉に使用される蝶番です。取り付け部分を削って、埋め込んで使用します。扉部分を開けた時に扉と収納部底面がフラットになるのが特徴です。TVボードやライティングボードなどに使用されます。
クリーンヒンジ(clean room hinge)
慴動部に樹脂でできたキャップを装着している蝶番です。樹脂キャップを装着することにより、金属同士の摩耗を防ぎ金属粉が飛散しないようになっています。クリーンルームなど半導体製造業界で使用されています。
その他にも、扉を90度の角度に開いた際に軸を上から抜くことができる儀星蝶番や扉の上下の端に取り付けるピボットヒンジ、装飾用のなつめ蝶番(フランス蝶番)など様々な種類があります。
ヒンジ(蝶番)には様々な種類があり、合わないものを使用するとすぐに壊れてしまったり、事故に繋がってしまったりする可能性があります。使用する箇所や対象物に合わせて最適な蝶番を選ぶことが大切です。
弊社での製品事例
本記事で解説したヒンジについて、弊社で加工した製品を紹介します。
ヒンジ
スペック・仕様
材質 | アルミ |
ロット | 1~5ヶ |
大きさ | 6×10×35 |
公差レベル | ±0.05 |
納期目安 | 2週間 |
金額 | 5000~10000 |
製品用途・業界 | 産業機器 |
試作開発向けの短納期の製品です。
その他にも製品事例を掲載しておりますので以下のサイトもぜひご覧ください。>>>ヒンジの製品事例についてはこちら
以上、ヒンジとは、その種類と特徴、弊社での事例についてもご紹介いたしました。
加工の相談窓口を運営している株式会社今橋製作所では、本記事で解説しましたヒンジの製作実績がございます。簡単な加工から複雑な形状の加工まで幅広く対応しており、最適な材質選定、加工方法等をご提案させていただきます。技術相談も承りますので、ぜひ一度お気軽にご相談下さい。
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